- 投稿日
- 2018年8月19日
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子犬がカリカリドッグフードを残す!偏食・飽きるのは危険?6つ原因と対策
生後1歳未満は犬が成長する大切な時期ですから、しっかりと食事から栄養を摂らせたいところです。それなのに、子犬が突然ドッグフードを残して食べなくなってしまったら、心配ですよね。
そんな時、飼い主さんは子犬の口の近くにフードを持って行ったりして、無理矢理食べさせようとしてしまいます。
しかし、そうなるとドッグフードに対するイメージが悪くなり、余計に飼い主さんの前で食べなくなる事もあります。
残す時は、まず子犬へのフードの与え方を再確認するとともに、子犬の気持ちになって、食べない理由を考えてあげましょう。
ただし、全く食べずにぐったりする、嘔吐するなど体調不良がみられたら、一刻も早く動物病院を受診してください。
この記事では、生後6ヶ月未満と生後6ヶ月以上を分けて解説します。理由は、ある程度、体力や免疫力が付いた生後6ヶ月以上とそれ以前では、対処方法などが違うからです。
【危険】生後2~6ヶ月の子犬が食べ残すときは低血糖に注意!
子犬が朝起きた時やごはん前など、胃液のような黄色い液体や白い泡のようなものを吐くことがあります。黄色い液体は、胃液ではなく胆汁で、白い液体や泡は胃液です。これは空腹時間が長すぎたためなので、食事の間隔を少し短くしたり、回数を増やしてあげてください。(参考:この「吐く」大丈夫? http://www.momiji.org/kosin/vol105.html)
もし、この嘔吐が続くようなら、早めにご近所の動物病院に相談することをオススメします。
この時期に新しい飼い主さんのところに来た子犬は、ストレスで食欲が落ちることがあります。
しかし、体力のない子犬は1食でも抜いただけで「低血糖」という危険な状態になる事もあります。これは簡単に言うと極度の栄養失調のことです。生後3ヶ月くらいまでの子犬によくある症状です。
長時間ドッグフードを食べないでいると、脳の血糖値が低下してしまいます。脳のエネルギーは糖分ですから、このことで低血糖の症状を起こすのです。
具体的な症状としては、ぐったりしてる、体温が低い、意識を失って痙攣しているなどです。抱っこしても首はすわっておらず、体に力がはいってない感じです。
応急処置として、砂糖水を飲ませてあげるなどがありますが、とにかく一刻も早く動物病院に行ってください。(参考:低血糖 いぶきの動物病院 http://www.ibukino-ah.com/dogillness/)
生後2~6ヶ月は急激に成長する時期なのに食べない原因は?
子犬の完全離乳は6~8週齢で親離れの時期でもあります。このころの子犬には、1日3~6回程度にわけてフードを与えます。
子犬が必要とする体重当たりのエネルギー量は、同じ犬種の成犬の約2倍ですが、胃など消化器官が小さく未発達なので一気に食べることはできないためです。
生後5ヶ月くらいまでは1日3~6回程度与えて、それ以降は1日2回程度で問題ありません。
注意点として、エネルギー要求量が多いからといって、子犬が好き勝手にいつでも食べられるようにすると、肥満につながるので自由給餌は避けましょう。
しかし、成長が著しいこの時期に子犬が食べ残すのは非常に心配です。
ブリーダーさんのところで食べていたフードを、今まで通りふやかしていたのに食べない、しかし元気はあるとなると体調不良以外の原因が考えられます。
原因1:実は運動不足である
散歩や遊びが足りないと、お腹はなかなかすきません。運動や刺激が不足していないか確認してみましょう。
対策:散歩や遊びなどで運動量を増やす
フードはあまり食べないけれど元気なようでしたら、散歩を増やしたり、遊びの時間を増やしたりして、運動量そのものを増やしてみましょう。
なお、食べたらすぐにトイレ(うんちやおしっこ)をすることが多いです。人間でも、食べたらトイレに行きたくなりますよね?
ですから、食事のあとはトイレトレーニングの絶好の機会です。予め決めた室内のトイレ(ペットシーツの上)で出来るようにトイレのしつけをしましょう。
※トイレのしつけの方法や注意点はこちらの記事で解説していますので、ぜひご覧下さい。
原因2:ドッグフードが劣化(酸化)している
意外と見落としがちなのが「ドッグフードの劣化」です。開封してから時間が経っていた、保管場所が高温多湿だったなどの理由で、酸化・香りの減少・カビが生えていることも考えられます。フードの匂いに変化がないか、カビが生えていないかチェックしてみましょう。
対策:フードが劣化していたら新しいものにする
賞味期限をチェックします。過ぎていなくても匂いが前と異なる、手触りが異なるという場合は廃棄して、新しいフードに変更しましょう。また保存方法を見直すことも大切です。
ドッグフードは肉や魚の脂が含まれるので必ず酸化してしまいます。目安としては、1ヶ月程度で食べきることをオススメします。多くのナチュラルドッグフードで1~2ヶ月程度で食べきることが推奨されています。
そして、湿気させない、酸化させないように心がけましょう。フードストッカーやタッパー、密閉できるビニール袋に小分けしてもいいですね。
特に夏場は注意が必要ですが、冷蔵庫に入れるのは実はNG。冷蔵庫から出して常温になると、結露が生じてカビが生えてしまうことがあるためです。
さらに、風通しがよくて暗い場所で保管してください。注意点としては、日光だけでなく、蛍光灯の当たらない場所で保管して下さい。
直射日光だけでなく、蛍光灯でも過酸化脂質(がんや動脈硬化の原因になる脂質が酸化した有害物質)が最大630%もアップしたという研究報告があります。詳細はこちらの記事もご覧下さい↓
原因3:食べる環境が落ち着かない
近所の犬の吠える声が聞こえる、子供が近くで騒ぐなど周囲がうるさかったり、玄関近くでばたばたと人の出入りがあったりということはありませんか?
気になることがあり、落ち着いて食べられないことで、子犬の食欲が落ちている可能性があります。
対策:食べる環境を見直す
騒がしいところや落ち着かないところから、子犬が静かに過ごせる場所に移動してあげます。ケージ内で食べさせてもいいでしょう。
住環境を整えてあげるのはとても大切な事です。特にケージの設置方法には注意が必要です。
設置のポイントは、「クレートを設置して犬を安心させる」「寝る場所(クレート)とトイレの場所はわける」になります。犬の祖先である狼は洞穴や大きな岩の隙間などの少し暗くて狭い場所を好んで巣穴にします。
クレートはそれらの少し暗い巣穴に環境がにているので、クレートがあった方が安心して過ごせます。
また、トイレと寝る場所は分けた方が良いです。狼は外敵や獲物に自分の巣穴の位置を悟られないように、巣穴(寝る場所)とは別の場所で排泄すると言われています。
それに、トイレトレーニングに失敗して、トイレシーツよりもはみ出してうんちやおしっこした時も、場所を分けた方が掃除もしやすいですし、衛生的です。
小さなケージ内に寝る場所(クレート)とトイレシーツを置いて、ずっとひとりで長時間留守番させる‥という状況は、ストレスで問題行動がでやすいので避けましょう。
今後、長時間の留守番をすることもあるでしょう。そんな時は下記の設置方法なら犬のストレスを少なくできます。
室内フリー(放し飼い)が理想的ですが、子犬の頃は特に家具を破壊したり、ケーブルやコンセントをかじって出火する事もあるかもしれません。安全の為にこのようなケージにいれておきます。
(オススメ!)ケージとクレートの設置方法
まずは2つのケージを繋げて、その中に入口の扉を外したクレートをいれ、トイレと寝床(クレート)を分けます。
大型犬・中型犬なら、サークルや柵などでそれらを囲います。このくらいの遊ぶスペースがあれば、ストレスは少ないでしょう。
小型犬で運動量の少ない子なら、遊ぶスペースは無くても良いでしょう。
給水器はペットボトルを差し込む、ケージに挟むタイプのものなら、留守中に水をこぼしてしまう心配はありません。
※留守番のしつけと注意点についてはこちらの記事もご覧下さい↓
それでも食べない場合はまずはふやかす
離乳食からドライフードにしたけど食べ残す場合は、再度ふやかして与えてみましょう。
その際、お湯やレンジで温めて、フードの匂いを出すことでまた食欲が戻る可能性があります。
ふやかすときは、熱湯はNGです。40度程度(50℃以下)のお湯を使い、熱しすぎないようにしましょう。
あまり高温で熱すると、ドッグフードの成分であるたんぱく質が変性を生じます。また、ドッグフードには熱に弱い水溶性ビタミンも含まれています。(参考:ドライフードをふやかす時に、熱湯を使うと栄養成分に影響がありますか? https://www.royalcanin.co.jp/new/faq/?p=567)
ここでは、実際にドッグフードを電子レンジでふやかしてみました。
1.ドッグフードを子犬用に50g量ります。
2.ペット用耐熱皿に移し、ひたひたより少し多めに水を注ぎました。
3.ラップをして700W・20秒程度、電子レンジで加熱しました。
4.指を入れて、温かい程度(お風呂のお湯加減と同じくらい)です。加熱時間が長くて熱くなりすぎると成分が変性してしまうだけでなく、子犬がやけどするので気を付けてください。
5.レンジで加熱してから6~7分程度放置しました。ちょうど食べやすそうな柔らかさです。
ドッグフードによって、レンジの加熱時間や柔らかくなる時間は異なるので、様子をみながらふやかしてください。
もしくは、こちらの動画にあるように、犬用ミルクを混ぜるのも良いでしょう。
犬の離乳食の作り方
色々と対策をしても食べてくれない状況が続くと、飼い主さんは心配になって子犬の口の近くにフードを持って行ったりして、無理矢理食べさそうとします。
しかし、そうなるとドッグフードに対するイメージが悪くなり、余計に飼い主さんの前で食べなくなる事もあります。
食べないけど元気ならば、量を減らすなどして様子をみてください。無理矢理食べさそうとするのではなく、お腹が空けばいずれ食べます。
ただし、生後6ヶ月未満の子犬は低血糖を起こしてしまうこともあります。食べないし元気もないときは早めに動物病院を受診しましょう。
生後6ヶ月以上の子犬がドッグフードを食べない原因は?
生後6ヶ月にもなると体もしっかりしてきている頃ですが、成長中期でありこの時期の栄養要求量は最大になります。
飼い主さんとしてもドッグフードをちゃんと食べてほしいところですが、ドッグフードを残したり、あまり食べなかったりということが続くと心配です。
ゆでたささみなどトッピングをするとトッピングしたものだけしか食べない、またおやつは食べたがる、人の食事も欲しがるとなると体調不良ともいえないようです。
まずはドッグフードを食べない原因を探ってみましょう。
原因4:フードの量・与える回数が多すぎる
いつまでも子犬だと思って、今まで通り1日4回くらい与えていませんか?そろそろ1日2回にしても大丈夫になっているかもしれません。
生後6ヶ月を過ぎたあたりから、消化器官が発達してくるので、1日2回程度にしても問題無い場合が多いですよ。
対策:体重や体型をチェックして与える量・回数を確認
体重を量り、ドッグフードのパッケージにある表示と見比べてみましょう。
また便の様子もチェックしながら調節してみましょう。食べ過ぎの場合は軟便・下痢になる事が多いようです。
まずは体型をチェックします。これは数値で計測するわけでなく感覚的なチェック方法ですが、BCS(ボディ・コンディション・スコア)というものを利用するのが一般的です。(参考:環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」パンフレット)
チェックするポイントは「腰回り」です。こちらは太りすぎです。
こんな感じなら理想的です。腰回りに適度なくびれがありますよね?
次に、体重もチェックします。まずは、あなたがわんちゃんを抱っこして、一緒に体重を量ります。
次に、あなただけ一人で体重計にのって体重を量ります。愛犬を抱っこした時と、あなたが一人でのったときの差が、わんちゃんの体重になります。これで、現状の体重が把握できます。
このように、体型と体重を定期的に測定して記録しておくと体調管理をしやすくなります。
1日の正しいドッグフードの量に関しては、こちらの記事でも解説しているのでぜひご覧下さい。
また、慣れてくるとドッグフードを目分量で与えることはありませんか?きちんと量って与えること、フードの保存方法など今一度、確認しておきましょう。
こちらは環境省の動画で、フードの与え方の基本がしっかりわかります。基本を確認しておきましょう。
環境省「ペットフード・ガイドライン」ペットフードの食べ方/与え方編
原因5:トッピングのしすぎ
犬が「餌ねだり」をしている可能性があります。ドッグフードを食べないでいると、いろいろな手を使って食べさせたくなります。ささみをゆでたり、そのゆで汁をかけたりと気を遣ってしまうのではないでしょうか。
子犬は、ドライフードを食べないでいると「ドライフードよりも美味しいものが出てくる」と学習してしまった可能性が高いです。
また、人間の食事中に吠え続けたら人が食べているものをもらえた、というのも餌ねだり行動となってしまいます。
対策:ドッグフードを食べるまで、トッピングやおやつは与えない
まず最初に、犬の食事マナーを見直しましょう。「犬より先に人間が食事をとる」「人間のご飯を分け与えない(または食事中は犬はケージにいれておく)」ようにしてください。
特に、犬にとって人間の食事は塩分・糖分が多い、消化しにくいなどの問題がありますから注意してください。
次に、トッピングやおやつは与えないで、ドッグフードのみを食べさせるようにします。お腹がすいたときにドッグフードを少しだけ与えます。その後、本来の量に増やしていくようにします。トッピングやおやつはドッグフードを食べてから、とするといいですね。
また、この動画のように子犬のしつけとして、飼い主さんが自分の手でフードボウルにエサを入れる方法も有効です。
犬を迎えた日 その3~食事の与え方
原因6:歯の生え変わりで痛い
生後4ヶ月~6ヶ月くらいは乳歯が永久歯に生え変わる時期です。歯が抜けたあとにドライフードが歯茎に当たると痛いので、ドライフードが食べづらいのかもしれません。歯がむずむずして甘噛みをする子もいます。
対策:ドライドッグフードをふやかす
一時的にドライフードをふやかしたり、ウェットフードを与えたりしましょう。
ふやかしたフードやウェットフードのデメリットは「ドライフードに比べて歯に汚れがつきやすい」ことです。歯石がついて歯周病などになるので、歯磨きをオススメします。
毎日歯磨きするのが理想ですが、それが難しいなら週3回程度でもOKです。歯の生え変わりが済むころにはドライフードを食べさせるといいですね。
子犬の頃は歯が綺麗で歯石はついていないと思いますが、油断していると、1歳頃には歯石が目立つようになります。犬も人間と同じように歯みがきをしないと歯周病になって歯が抜けてしまう事もあります。
さらに細菌が増殖して心臓や腎臓などに到達すると、重大な健康被害を及ぼします。特に犬歯と奥歯に歯石がつきやすいので、出来れば毎日歯磨きをしてあげましょう。
愛犬の歯みがきトレーニング
犬の歯みがきについては、実は難易度が高いです。多くの犬は口を触られたり、口の中に物を突っ込まれるのを嫌がるからです。ですから、この動画のようにステップバイステップで進めます。
どうしても歯みがきが無理な場合は、病院で歯石取りをする事になります。しかし全身麻酔をします。ですからなるべく歯みがき出来るように子犬の頃からトレーニングする事をオススメします。
近年、無麻酔で歯石取りをするサービスが流行っているようですが、歯周ポケットの歯石まではとれません。見える部分の歯石をとるだけですから、あまり意味がありません。歯石とりは獣医師に相談する事をおすすめします。(参考:無麻酔下の歯石除去について https://www.jsvetsci.jp/10_Q&A/v20131004.html)
(まとめ)子犬がドッグフードを残す場合の原因と対策
それでは、ココまでの話をまとめますね。
・生後6ヶ月未満なら低血糖に注意!
・原因1:運動不足
・原因2:フードの劣化(酸化)
・原因3:食べる環境(ケージなど)
・原因4:フードの量と回数
・原因5:トッピングし過ぎ
・原因6:歯の生え替わりで痛い
成長期の子犬が食べないと心配になると思います。しかし、だからと言って無理矢理食べさせようとするのではなく、子犬の気持ちになって理由を考えてあげてくださいね。
※子犬のドッグフード選びに困っている方はこちらの記事もご覧下さい
※こちらの記事では子犬の時期にするべきしつけなどについて解説しています↓